プログラミング教育必修化に向け、知っておきたいプログラミング学習のメリットや親が準備すべきこととは?

2020年度から、小学校でのプログラミング教育が必修化となります。
しかし、こんな疑問や不安を持たれている保護者の方も多いのではないでしょうか?

  • なぜプログラミング教育が必修化されるの?
  • プログラミング教育必修化で、子ども達は何を学ぶの?
  • 私たち大人がそもそもプログラミングのことを理解していない…
  • プログラミング教育必修化に向けて、今から準備をしておくべきことは?

そこで今回は、プログラミングのことをあまりよく理解していない方や、目前に迫ったプログラミング教育について不安を抱いている方に向け、どういった目的でプログラミング教育が必修化されるのか、またプログラミング教育のメリットや、また2020年のプログラミング教育必修化に向けた準備について、分かりやすくご紹介します。

小学校でプログラミング教育が必修化される背景と目的

プログラミング教育が必要とされる背景には、テクノロジーの発達によって持たされている第4次産業革命やグローバル社会への対応、IT人材不足などの社会的な背景があります。詳しく見て行きましょう。

現在は第4次産業革命の真っ只中

第四次産業革命とは、「IoT(モノがインターネットに繋がること)」や「AI(人工知能)」により、産業の形が大きく変革していくことを指します。

近年、様々なメディアやニュースでも「IoT」や「AI」については取り上げられているので、何となくこれらの言葉の意味を知っていたり、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?

分かりやすいIoTやAIの導入事例を挙げるとすると、「自動車産業」が挙げられると思います。
車がインターネットに繋がることで、ドライバーの年代別や地域別、また天候別の走行データを収集できるようになります。また膨大な収集データをコンピューター自身が分析を行うことで、人間よりもはるかに早い処理速度でデータの分析・解析を行うことが可能になります。つまり、最新の車種などに搭載されているドライブアシスト機能(衝突回避機能など)を開発したり、将来実用化が目指されている自動運転の技術開発に、IoTやAIは大きく貢献しているのです。

今回当記事では、IoTやAIについて詳しい解説はしませんが、IT・テクノロジーは私たちの生活に密接しており、今後ますます欠かせないものになるだろうと考えられます。プログラミング教育必修化の背景には、このような社会構造の変化があることが理由に挙げられます。

グローバル社会への対応

IT技術の進化やインターネットの普及により、私たちの生活は一昔前に比べて、劇的な変化を迎えています。
現在では1人1台スマートフォンを所持し、いつでもどこでもインターネットで検索をして知りたい情報を検索したり、欲しいものがあればインターネット上で購入、自宅まで配達される生活が当たり前となっています。
また仕事においても、連絡手段はメールやチャットを用いたり、仕事を効率化させてくれる様々なアプリやサービスが導入され、日常的に使用していることと思います。

つまり現代社会は、インターネットやIT技術がなくてはならいものになっているということです。

この時代の変化を受け、世界各国では、初等教育(小学校)からインターネットやITの知識を学ぶ「情報教育」の授業が始まっています。
例えばイギリスやシンガポールでは、1990年代からはすでにIT分野の教育をスタートされたと言われています。また2000年代になると、インドや韓国、ハンガリーなどで初等教育からIT分野に関連する授業が必修化され、さらに2010年代からはヨーロッパを中心にIT教育に力を入れ始める国が次々と出てくるなど、世界各国では、子供のうちからインターネットやITの知識を学ぶ「情報教育」が活発に行われています。

日本では、2020年からIT分野に関する教育がやっと必修化になるわけですが、他国の教育の現状を見ると、日本のプログラミング教育の導入は早いとは言えません。これから先の未来も、どんどんテクノロジーの進化は進んで行き、ますますインターネットやIT分野の知識が必要となる時代が来ることでしょう。これ以上世界の各国に後れを取らないためにも、日本でも小学校からのプログラミング教育必修化を導入することとなったのでしょう。

深刻なIT人材の不足

またプログラミング教育の必修化の背景には、システムエンジニアはじめとするIT人材の不足問題も存在します。前述の通り、今後もあらゆる分野でITが活用されると考えられますが、IT人材の数が追いつかないと言う問題が指摘されているのです。

これは日本だけでなく世界各国でも同様の問題があります。
このため、IT教育を初等教育から取り入れる目的としては、生徒全員がプログラマーやシステムエンジニアになることはもちろんないですが、小さい頃から学ぶ機会を与えることで、将来IT人材になりたいと思う機会を与えたいという狙いがあります。

また新しいIT技術の開発や技術革新は、各国の経済成長にも大きな影響を与えます。
今後もあらゆる分野でITが活用されていくため、いかに自国のIT分野を成長させるかは、各国にとって大きな課題であるとも言えるのです。

プログラミング教育を受けるメリット

プログラミング教育には、さまざまなメリットがあります。
プログラミング自体に興味を持ち、実際にアプリやシステムを開発したい!と子供たちに思わせること自体もメリットの一つですが、2020年から必修化されるプログラミング教育では、プログラミング言語やコーディングを学ばせるというものではなく、どちらかというと「思考力」を育成することが目的となっています。このプログラミング教育を通して学ぶことが出来る思考力は、結果として人間関係や将来性を豊かにできると期待されているのです。

プログラミング教育で身につけることができる思考力は、主に以下の3つであると言われています。

  • 論理的思考能力
  • 問題解決能力
  • 想像力・創造力(自己実現能力)

それでは、プログラミング教育によって身に付けられる3つの「思考力」について、子供たちにどのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。

論理的思考能力

論理的思考能力とは、道筋を立てて物事を考えたり、それを相手にわかりやすく説明したりできる能力のことをいいます。

複雑に見える問題があったとしても、それぞれの要素に分解して一つ一つ考えていくことで、その問題をしっかりと理解し、さらにそこから結論を導き出すことが出来るようになる力が身に付けられるのです。

プログラミングを行う際は、機械やアプリケーションを目的通りに動作させるため、一つ一つどのような条件・指示を出す必要があるのかを考える必要があります。曖昧な手順や処理であれば、目的通りの動作は行われません。このため、正しいコードを考えたり、処理漏れがないか常に確認したりしながら進める必要があります。そのため、プログラミングを学ぶことによって、おのずと論理的思考力が身につくのです。

論理的思考能力を子供のうちから学ぶことは、ビジネスシーンだけでなく、普段の生活面でも大いに役立つことでしょう。
難しい問題も順を追ってスムーズに解決できるほか、自分の言いたいことをうまく言語化できるようにもなります。

問題解決能力

問題解決能力とは、問題の根幹を認識し、分析、そして自分が今持っている情報やスキルで、どう解決していくかを考える能力のことです。これもプログラミングには欠かせない要素の一つと言われています。

プログラミングでは、きちんと筋道を立てて考えた方法でプログラミングをしても、思ったような動作をしないということが多々生じます。このような状況になった場合、自分自身で原因を探り、問題を解消していくという作業を何度も粘り強く繰り返さなければなりません。そのためプログラミングを学ぶことで、普段から「自分自身で考える」というクセがつき、自然と問題解決能力が身に付くのです。

問題解決能力を身に付けると、プログラミングをする際だけでなく、実生活で何か問題が起きた場合でも、いち早く問題を見つけ出し柔軟に対応できる力が身に付きます。問題の根幹をきちんと見極めることで、自分一人で解決できる問題なのか、周りを巻き込んで解決していかなければならないのか等、生じてしまった問題ごとに最善な解決方法を考えることが出来るようになります。

想像力と創造力(自己実現能力)

プログラミングは、「こういうアプリを作りたい!」「こんなサービスがあったらもっと便利なのに」など、頭に思い描いたものや自分のアイデアを実現できるというのが大きな魅力です。そのため、プログラミング教育は「イメージする力」と「それを形にする力」の両方が必要になってきます。

つまりプログラミングを学ぶことで、「想像力」と「創造力(自己実現能力)」が自然と身に付けられるのです。

想像力や創造力(自己実現能力)は、大人になってから身に付けることはなかなか難しいと言われており、幼いうちから訓練をするほうが効果的だとされています。子供の想像力の豊かさは素晴らしいものがあります。大人には到底考えつかないような画期的なアイデアを考えることもあると思います。この豊かな想像力を具体化できる力が備わるようになれば、きっと世の中を「あっ!」と言わせる大発明や、画期的なサービスを生み出す日も訪れるかもしれません。

プログラミング教育の必修化に向けて、親が準備しておくこととは?

プログラミングに対してあまり知識のない方は、「プログラミング=難しい」というイメージを持っているかもしれません。ですが、子供は好奇心旺盛で適応能力も高いため、新しいゲームに挑戦するような感覚で、プログラミングに対しても、何のためらいもなくどんどん知識を吸収することが出来るはずです。

これからのデジタル社会を生きていくためには、子供たちの可能性を広げてくれるプログラミング教育は必要不可欠です。子供たちが楽しくプログラミングを学べるよう、私たち親はどのような準備をする必要があるのでしょうか?

学習環境を整える

まずはじめに、子供が快適にプログラミングの学習ができるよう、学習環境を整えてあげる必要があります。

具体的には、まずは子供がプログラミング学習で使用する、専用のパソコンを用意してあげてください。
すでに家にあるパソコンではダメなの?と思われる方もいるかと思いますが、普段ご両親が利用しているパソコンとは別のものを用意してあげることをオススメします。

子供専用のパソコンを用意する方が良い主な理由としては、下記の2つが挙げられます。

  • 子供が学習したいと思ったタイミングで使える
  • 保存しておいた大切なデータやファイルを、子供の操作ミスなどにより削除されるリスクがない

パソコンの用意が整えば、次に子供向けのプログラミング学習ツールはどのようなものがあるのか、チェックしましょう。
今はWebサイトやアプリを使って、ゲーム感覚でプログラミングを学べる子供用の学習ツールが沢山あります。子供が好きそうなものをあらかじめチェックすると良いでしょう。

プログラミングについて親も予習しておく

プログラミング教育は、知識や技術を身につける上でも、学校以外での家庭学習も非常に重要です。また子供たちは、わからないことがあれば、ご両親に質問してくると考えられるので、親もプログラミング学習で使う用語や意味を多少は理解しておく必要があります。

「パソコンが苦手なので、子供にちゃんと教えられるか不安」
「そもそもプログラミングなんて、全然わからない!」

このように感じているご両親も多いと思いますが、専門知識がなくてもあせる必要はありません。
プログラミングを学ぶためのツールやソフトは、子供向けのものを中心に、楽しく、わかりやすく、簡単なものがたくさんありますので、プログラミングに対し苦手意識を持たれている方は、小学校での授業化の前に一度子供向けのプログラミング学習ツールでプログラミングとはどういうものか、お子さんと一緒に学んでみるのも良いと思います。

まとめ:プログラミング教育は親の協力が必要不可欠

いかがでしたでしょうか?
2020年度から小学校でのプログラミング教育の必修化に備え、色々と不安に思うご両親も多いと思いますが、本記事により、少しでも抱えられていた不安が解消されていれば幸いです。

本記事の冒頭でもお伝えしておりますが、小学校の段階ではプログラミング技術の習得が主な目的ではなく、あくまでも「プログラミング的思考」を身につけることに重きを置いています。つまり、小学校の段階ではいかにプログラミングに興味を持たせるかというのが重要なのです。
そのためには、お子さんだけでなく、ご両親も一緒に準備をしておくことが大切です。

また近年では、プログラミング教育の必修化に備えたり、デジタル化社会で市場価値の高い人材に育って欲しいという想いより、子供をプログラミング教室に通わせるご家庭も徐々に増えてきました。
当サイトでも、おすすめのプログラミング教室や、プログラミング学習ツールについて、随時情報発信をしていきたいと考えておりますので、情報がまとまり次第当サイトで発信をさせていただきます。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事を書いた人

Kanako

大手企業からベンチャー企業まで3社を経験。退職を機に明治大学のスマートキャリアプログラムを受講し、学び直しの重要性を体感。その後、当サイトの企画・運営に携わる。