【京都女子大学 リカレント教育課程】竹安栄子特命副学長に聞くプログラム・受講生への想いとは?

京都女子大学では2018年より、社会人女性向けの学び直し教育プログラム、「リカレント教育課程」を開講されています。
今回は、当プログラムの立ち上げを企画された、京都女子大学 特命副学長・地域連携研究センター長の竹安栄子(たけやすひでこ)先生に、プログラムの内容だけではなく、リカレント教育課程の創設に至った経緯、当プログラムに込めた想いなどについて、お話をお伺いしてきました。(取材日:2019年4月17日)

kanako

Kanako
本日はお時間を頂きましてありがとうございます。京都府では初の社会人女性向けの学び直しプログラム「リカレント教育課程」を創設された京都女子大学さん。2018年から開講され、まだ1期生が修了されたばかりではありますが、本日は当プログラムの立ち上げに至った経緯の他、1期生の受講生の方と実際に接しられて感じたことなど、竹安先生に色々とお話をお伺いできればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします!

京都女子大学 竹安栄子 特命副学長・地域研究センター長

関西学院大学大学院修了。京都女子大学現代社会学部教授を経て、2015年から地域連携研究センター長、2017年から特命副学長に。『日本の女性議員』(共著、朝日新聞社)他、論文多数。

「リカレント教育課程」立ち上げの経緯について

まず初めに、京都女子大学でリカレント教育課程を立ち上げた経緯についてお伺いします。
当プログラムは、主にキャリアを中断されて家庭に入られた女性の仕事復帰やキャリアアップを支援するビジネスプログラムですが、なぜリカレント教育課程を開講するようになったのか、立ち上げのきっかけや経緯を教えてください。

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
リカレント教育課程をわが校で創設したきっかけですが、そもそもは京都府が「大学連携京都府リカレント事業」というものを立ち上げたことがきっかけとなっています。この行政が立ち上げた事業を簡単にご説明すると、結婚や子育て、介護などのライフイベントにより離職した女性の「もう1度働きたい」という気持ちやニーズに応えるため、京都府、京都女子大学、オムロンエキスパートリンク社(京都府から就業支援の受託・運営)の3社が連携し、仕事復帰を目指す女性たちに、学びとキャリア形成、再就職支援などをトータルでサポートする事業です。

京都府からの声掛けがあったことで、「リカレント教育課程」の開講が実現したのですね。

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
はい、そうです。2017年11月という時期に京都府から声がかかりました。京都府としてはこの事業に関する予算を取る予定ので、ぜひ発展講座の運営に応募して欲しいと。最終的には学長が、外部からこのような要請が来ているのだからと、仕事復帰を目指す社会人女性向けのリカレント教育課程の事業をスタートすることを決断し、2018年度から実施することとなりました。しかし、今年度(2019年度10月~)からは行政との連携体制ではなく、京都女子大学として「リカレント教育課程」を開講する予定となっています。

昨年度(2018年度)は行政との連携プログラム、今年度(2019年度)からは、大学独自でのプログラム開講をされる予定ということですね?

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
はい、そうです。昨年度(2018年度)は行政との連携でしたので、受講期間は8月~3月の設定でした。8月~9月は、オムロンエキスパートリンク社が運営する「基礎講座」、10月~1月末までは京都女子大学が運営する「発展講座」、1月末~3月までは、オムロンエキスパートリンク社を中心としたキャリア支援というプログラム構成でした。
しかし、今年度(2019年度)からは、行政との連携事業ではなくなるため、プログラムの開講自体は10月からを予定しています。ただし基礎講座部分が丸々無くなるのも良くないと思うため、9月後半の2週間はオリエンテーション期間も兼ねて、学部生の授業の受講をしてもらうようにする予定です。本講座の受講前に、ゆるやかに家庭から出て、決まった時間に外に出て体を慣らす、新しい生活スタイルに慣れる期間にしてもらえたらと思っています。

プログラムを開講するにあたって工夫・考慮されたこと

「リカレント教育課程」を開講されるにあたり、工夫されたことや考慮されたことがあればお聞かせ下さい。

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
まず授業内容ですが、どのような職業に就いても、また起業したとしても、あらゆる面で最低限必要な基礎的スキルを学べることが重要だと考えました。
また、リカレント教育はビジネスにおいてより実践的な内容が求められるため、学部教育とは根本的に教科内容が異なります。このため、より実践的なビジネススキルを教えることに長けた外部講師の先生方に講座の担当をお願いしたり、現場の担当者や京都中小企業家同友会の方にもゲストスピーカーで登壇して頂くなどの工夫をいたしました。

※2018年度第1期生が受講した、主なキャリア形成科目

  • ライフ・キャリアデザイン
  • パソコン基礎・実践
  • 企業会計
  • 初級簿記
  • 人事総務
  • 秘書業務
  • ロジカルライティング など

仕事復帰を目指されている方が学ぶ授業内容としては、とても良いですね。これらの科目を学ぶことで、自信をつけることが出来そうですね。

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
本プログラムは約半年間という短期プログラムなので、何らかの分野に特化したり、資格取得を目指すのは難しいため、仕事復帰に向けての「リハビリ」を目的とするのが適切ではないかと考えています。いくらスキルや知識があっても、いったんキャリアを中断し休業してしまうと、その期間が長いほど、仕事をすることに適応することが難しくなってしまうものですよね。こうしたことからも、上記のようなビジネススキルを改めて学ぶことは、知識やスキルを付けるだけでなく、復職の際の準備期間としても捉えられるのではないかと思います。

竹安先生から見た、受講生について

実際に昨年度よりプログラムを開講され、授業などで受講生に接しられて、竹安先生からみた受講生のタイプや印象についてお聞かせ頂けますか?

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
印象としては、みなさんとても活発で積極的だったなと感じます。授業中も積極的に質問する方が多かったですし、何より驚いたのは、受講生の多くの方が、月曜日から金曜日まで時間割を埋めて、ほぼ全ての科目を受講されていたことですね。これは本当に予想外で驚きました。皆さん「どの授業も新しい学びがある」と言われて、多くの科目を受講されていました。
また授業以外でも、空き教室を借りて読書会や勉強会を自主的に開催されていたり、校内の学部生向けの企業セミナーや催し、あるいはフィールドワークに参加したいと申し出る方もいましたね。

活発で積極的な方が多かったんですね。

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
とにかく学校に来て授業を受けて、色んな方と話をすることが楽しかったみたいですね。授業が終わっても受講生同士で集まられて、学生時代に戻ったかのように話し込まれていた姿をよく見かけていました。

プログラムを開講される前に想像されていた受講生像と、実際にプログラムを受けられた受講生とでは、何か大きな違いはありましたか?

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
開講前に想像していた受講生モデル像は、子育て中の余裕のある世帯の専業主婦の方がメイン層だろうと考えていました。ですので、必ずしも就業の意識を強く持たれている人ばかりではないだろうと思っていました。しかし、先ほどもお話したように、みなさんとても活発で、しっかりと色んなことを学びたいという意欲が強い方が多く、こんなにも質問が多いのか、こんなにも多くの科目を履修するのかということは予想外でしたね(笑)
また実際の受講者は、大卒の方だけでなく、大学院修了者など、学歴が十分であるにも関わらず、不本意に家庭に入られている女性が多く、想定していたよりも応募数も多かったことから、社会人女性向けの「リカレント教育」に対し、潜在的なニーズがあることが分かりました。

就業意識を強く持たれている方ばかりではなかったということですが、受講生の就職率はどれぐらいだったのでしょうか?

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
プログラム開始当初は就業する意欲がそこまでなかった受講生も確かにいたのですが、実際に授業が始まり受講をする中で、どんどんと彼女たちの意識が変わっていかれました。また周りが就活を活発にし始めると、それが良い意味でプレッシャーになったり、また私からも「就業しましょう!」と声掛けを沢山したこともあり、そのような相乗効果もあってか、最終的には20名中17名の方の就労が決定し、85%就業という結果が出ました。

20名中17名の方の就労が決定というのは凄いですね。

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
女性が仕事をしていない理由の一つに、家庭の経済力が十分であることが多く、配偶者がハイキャリアであることがほとんどだと考えられます。そのため、配偶者は「女性は働く必要はない」と考えがちになってしまいます。ですが、社会に出て働くということは、決して経済的な側面だけではありません。初期の段階の授業では、働くことの社会的意義の講義もさせて頂きましたし、夫婦間の役割分担を見直しましょうという話をさせて頂いたりなど、価値観を変えさせることがまず必要だと考えてやってきました。このような取り組みもあり、受講生の就業意識を変えられたことが功を奏したこともあり、昨年は多くの修了生が就労に繋がったのではと思います。

女性のキャリアやリカレント教育(学び直し教育)について

女性のキャリア形成について、現在竹安先生が感じられている課題について、お聞かせください。

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
いくつかの観点があると思うのですが、1つには、いわゆる人権的な考えから言うと、女性であることが理由で、当人の持っている多様な能力が、本人が望むように十分に活用できないということは、人間としてとても不幸なことだと言えると思います。
本人が望んでないならいいのでは?と思う方もいますが、私は本人が自然と望まないように社会が作られてきているだけなんじゃないかとも思います。要するに人間として生まれ、色んな能力を伸ばし発揮し、それを社会に還元していくというのは、人間が生きることそのものじゃないか、そういう考え方ですね。

確かに女性は男性に比べて、結婚や出産などのライフイベントにおいて、キャリアを中断し、家庭に入られる方もまだまだ多いのが現状ですね。

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
京都は他の都道府県に比べて、専業主婦率が高い傾向にあります。また、配偶者が生活に十分な所得を得ている階層は、そもそも周囲の女性も働いていないケースが多く、女性は家庭に入られて生活を送られている方が多いですよね。そのような環境下で、共働きでの生活や、子供を保育所に預けること自体に抵抗がある場合もあり、その既成概念を変えることも必要なことではないかと考えています。

確かに、周囲の環境による影響は少なからずあると感じます。

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
また、日本の将来の人口構造の変動を考えると、女性の人材を労働界をはじめあらゆる分野で活用しないと、日本は経済的にも社会的にも持続していくことが困難だと思うんです。優れた能力を持っている女性は多いですし、またその人材を育てるために多額の税金だって投入されてきているわけです。その人材を活用できないことは、社会的にも大きな損失だと感じますし、日本の未来を成り立たせなくしている要因であるとも思います。その辺を産業界もどのぐらい真剣に対応していけるかが、日本の未来の産業の存続に掛かっているのではないかと思います。

女性の人材活用が今後の日本の産業存続において、とても重要ということですね。そのためにも、社会人になってからも学び続けるという「リカレント教育」が今後ますます重要になってくると思いますが、世の中に、女性のリカレント教育(学び直し教育)を普及させていくにあたり何が重要であるか、竹安先生のお考えをお聞かせください。

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
女性の学び直しがどうすれば普及していくかについては、広報がとても重要だと感じています。新聞やマスコミなど含め、色んなメディアで女性の学び直しを是非PRして欲しいと思います。また、政府や行政などは就労支援に関しては予算や補助金などを投入してくれますが、大学でのこのような学び直し教育に関しては、特にそのような支援がないんです。これは決定的な欠陥だと思っていますので、議員の方や、男女共同参画センターの方などには問題提起をさせて頂いています。もっと声を上げていかなければと思っています。

受講を検討されている方へのメッセージ

仕事復帰に向けて学びたいという意欲のある方や、興味はあるけど自分に自信がなくて受講を迷われている方がこのコラムを読まれていると思います。最後に読者の方に向けて、メッセージをお願いします。

京都女子大学 竹安特命副学長

竹安特命副学長
色々と不安を抱えられて悩まれている方もいると思いますが、まず伝えたいのは、最初の一歩を踏み出すことが何より大事だということです。この最初の一歩はご本人の幸せだけでなく、ご家族全員の幸せに繋がってきます。例えば、家にこもってストレスを抱えて子育てをしている場合、子供にとってはよくないことです。また外で仕事をするようになれば、自然と夫婦関係においても密に夫と連絡を取ったり、時間調整や情報共有をしないといけなくなりますので、自然とお互いのコミュニケーションは深まっていくと思います。
働くことが家族にとってマイナスになるという考えではなく、働くことは家族のためにもなるんだという意識を持つようにして欲しいと思います。経済的な面だけでなく、色んな面で家族のためになるという事実に、是非目覚めて欲しいと思います。
また、やっぱり自分自身が成長していくことは、とても楽しいことです。ですので、是非勇気をもって一歩踏み出し、このリカレント教育課程の受講をして頂ければと思っております。

インタビューを終えて

今回は京都女子大学で開講されている「リカレント教育課程」について、特命副学長の竹安栄子先生にインタビューのご協力を頂きました。

結婚や出産を機に、キャリアを中断した女性達の仕事復帰やキャリアアップを応援すべく、本プログラムの立ち上げをされた竹安先生。
ご自分の今後のキャリアについて悩んでいる方は、竹安先生のお言葉を信じ、勇気を持って一歩踏み出してみはいかがでしょうか?

京都女子大学リカレント教育課程は、竹安先生をはじめ、素晴らしい指導陣の先生方に出会えます。また職場や学生時代の仲間、子供の親同士の繋がりとも違う、同じ志を持つ仲間との出会いがきっと待っているはずです。
是非、京都女子大学のリカレント教育課程で、あなたも学び直しに挑戦してみましょう!

竹安栄子先生、インタビューへのご協力、誠にありがとうございました!

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インタビュアー

Kanako

大手企業からベンチャー企業まで3社を経験。退職を機に明治大学のスマートキャリアプログラムを受講し、学び直しの重要性を体感。その後、当サイトの企画・運営に携わる。

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