明治大学では2015年より、「女性のためのスマートキャリアプログラム」という、社会人女性向けの学び直しプログラムを開講されています。当プログラムは半年間という短期集中のビジネスプログラムで、これまで多くの女性の仕事復帰やキャリアアップを支援されてきました。
受講後は履修証明書の交付を受けられる他、受講料の最大70%がハローワークより支給される「専門実践教育訓練給付金制度」にも認定されており、今後、ますます多くの女性が受講されることが予想されます。
インタビュアーを務めました筆者自身も、2018年4月より半年間、「女性のためのスマートキャリアプログラム」(以下、スマキャリと呼ぶ)を実際に受講した一人です。今回は、受講を検討されている方々に向け、スマキャリの魅力やプログラムの内容について、学校担当者の高橋亜夕子さんに伺いました。
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目次
プログラムや受講者について
まずプログラムについてお伺いいたします。社会人女性に向けた「学び直し」プログラムということですが、どのようなプログラムでしょうか?
受講されている方はどのような方が多いのでしょうか?
昼間コースと夜間・土曜主コースの2つのコースがあるのですが、受講者層が大きく異なっています。
まず昼間コースは、パートや派遣などお勤めしながら通われている方や、専業主婦の方、フリーランス等でご自身で何か仕事をされている方、会社を退職されて学びに来られた方などがいます。
今、4つ項目を挙げましたが、フリーランスと退職されて学びに来られた方を一緒にしますと、大体1/3ずつに分かれるイメージです。
昼コースを受講しながらお勤めされている方は、どのように授業を受けているのでしょうか?
開講当初は主婦の方がメイン層でした。大学等を卒業された後に働いて、結婚・出産があったので勤めを辞めてご家庭に入られた、大体ブランク期間が10年~15年の主婦の方ですね。もちろん、今もメイン層ですが、ブランク期間の長い主婦の層と、そうではない層は現在の期ですと半々ぐらいです。
夜間・土曜主コースの受講者はどうでしょうか?
ただお勤めになられていると言っても、転職を考えている方、起業準備をしている方、管理職と言われているので足りないことを補うために学びに来るという方など、受講の目的は千差万別という感じがします。
お勤めの方は、具体的にはどのような職種の方が多いのでしょうか?
通われている受講生の方々は、都内や近県の方が多いのでしょうか?
昼と夜、どちらに通うか迷われている方もいると思います。各コースで違いはありますか?
昼間コースは完全にスマキャリ生だけの授業なので、先生もその期の雰囲気をみたりして、スマキャリ生に合わせて授業を行ってくれたりしています。
夜間・土曜主コースについては、スマキャリ生だけの授業ではなく、一般の社会人講座として受講をされる方々とも一緒に授業を受けます。違う職種の男性や女性とも授業を受けることになるため、そこでの意見交換をしたり、今の仕事と近い話をするということはあります。また、夜間の場合は、一般の受講者もいるという関係上、ある程度のビジネススキルがあるという想定での授業のため、授業によっては昼と夜間で同じ授業の場合でも、夜間の方が難しいと感じられるかもしれません。
つまり、大きな違いというのは、昼間コースはスマキャリの仲間達のみでクローズドで進行していき、夜間・土曜主コースについては、一般の社会人講座の方も入るため、授業毎に受講メンバーが変わるということですね。
授業について
授業のレベルや進め方に対し、お伺いします。
昼間コースも夜間・土曜主コースも、幅広い年代、これまでの経歴などが大きく異なる者同士が一緒に勉強していくことになります。受講を検討されている方の中には、授業についていけるのか、色んな人がいる中でどのように授業が進められるのか、漠然と不安を感じる人も多いと思いますが、実際はどうなのでしょうか?
私も実際にスマキャリを受講し、スマキャリの講師の方はプロの方だと実感しました。幅広い年代・属性の方々が一緒に授業を受ける中で、どういう風に授業が進行していくのか不安もありましたが、受講後の最後の感想は、受講生全員、誰しも学びがあるんだな、と。
授業のスケジュールを見たときは本当に出来るのか、と思う方も多いかもしれませんが、実際夜間コースを修了した方からは「学ぶことは楽しい。できるから大丈夫。一番重要なのは毎日学校に来るための体調管理です」と言うお言葉も頂きました。
最初から100点を目指す必要はありません。通ったのだから、いい成績を取らないといけないものではなく、毎日学校に来る、教科書を読むのを10分取ってみるなど、その人にとって、心地よいハードル設定ができれば、と思っています。
スマキャリでの授業は、座学で学ぶ科目が多いのでしょうか?
またアクティブラーニング、自ら能動的に関わり、インプット・アウトプットを行う授業が多く取り入れられています。最たるものがゼミですね。座学でインプットしたものを、ゼミの授業で実際にアウトプットで試してみることができる科目配置になっており、インプット、アウトプットの両方をバランスよく構成していると思います。
スマキャリで学べる授業は、ビジネスですぐ活かせるような実践的な授業や、企業を招いてのゼミ形式の授業、自分自身のことを知り、今後を考える自己啓発系の授業など、様々なプログラムが用意されていますが、特に受講生から反響のある授業があれば、教えてください。
わざと最初に授業を入れているということもあるかもしれませんが、ビジョンロードマップの授業は多くの受講生から「衝撃的な内容だった!」と非常に大きな反響をいただいています。最初の授業から目からうろこを落としまくってもらえれば(笑)
藤野先生のビジョンロードマップは、初回の授業ということもあり、私も鮮明に「あの衝撃」を覚えています(笑)今後の人生のビジョンとミッションを見つけ出す、とても内容の濃い授業でした。
実際にクライアント企業から課題をいただいて、その課題解決に向かってゼミ員が一丸となってプレゼンまで持っていくという授業です。実際に企業にお勤めの方も、今まで自分は企業提案までしたことがなかったり、やっていた人達を見ていたが、自分はその部署ではないからどうやって企業と関わっていくのか、最後まで見たことがなかったという受講生も多く、どのように課題を解決し、提案まで行うか、進め方が分ったり、新しい気付きがあったと感想を頂いています。
社会人になってからゼミを経験できる機会は自然にはないので、実際のクライアント企業を招いての実践ゼミは貴重な経験ですね。
受講生の学校生活について
受講生の普段の学校生活はどのような感じでしょうか?
夜間・土曜主コースは、平日は19時~21時の授業のため、皆さんギリギリに滑り込んで、授業が終了したらすぐに帰宅されています。土曜日は比較的ゆとりがあるので、授業が終わったらワイワイと過ごしている印象です。
キャリア支援について
キャリア支援などでは、昼間コースと夜間・土曜主コースで違いはありますか?
また授業外で、就職についてのガイダンス、企業を招いての合同就職説明会、スタートアップ起業をお呼びしての説明会、個別キャリアカウンセリングを行っています。カウンセリングについては、キャリア相談の他、転職相談も行っており、受講生の要望を聞いたうえで組み立てています。
夜間・土曜主コースのキャリア支援はどうでしょうか?
また夜間コースでは「ロールモデル座談会」というものを最近開催しました。社員から代表取締役へと進まれた方、MBAを取得され社内でステップアップされた方々をお招きし、座談会形式で受講生の皆様とざっくばらんに語り合っていただきました。好評だったので、次回もやろうと思っています。
学校側の主催されたセミナーや就職説明会を経て、受講者の方がどれくらい転職や再就職につながったのでしょうか?
ただ実際に求人に応募する人自体が期によって全然違うので、その期の受講生全体ではなく、企業へ実際に応募した人数の場合で言うと、採用されたのは応募者数の半数ぐらいでしょうか。
ブランクが長い主婦の方は、一般的に、もう一度再就職をするのは難しいと言われていますが、ブランクが長い主婦の方でも、再就職をされた方はいらっしゃいますか?
就職は企業とのマッチングのため、自分の要望が上手く伝わり、企業の要望ともマッチすれば、再就職に繋がるのかと思います。
ブランクのある主婦の方で、ほかのキャリアを築かれた人はいますか?例えば、自分の特技やスキルで独立など
今は企業で働くだけが選択肢ではなく、色々な選択肢が見えてきますね。
他大学との違いについて
他の大学との違いについてお伺いします。社会人の学び直しプログラムについては、日本女子大学や関西学院大学、立教大学なども出てきますが、明治大学のプログラムは、他の大学と何が違うのでしょうか?
ウチのプログラムを出たからと言って、何か資格が取れるということではないのですが、これが大きな違いですね。
実践が出来たとしても、本当に自分がやりたい事が分からない人も多いですよね。自分が今後どうしていきたいのか深掘りする授業も多く、実際に次のアクションを考えたり動く際に、大きく役立ちます。このプログラムの構成は、本当に考えられていますね。
明治の場合は、インプット・アウトプットの両方の学びの場を設けていることも他大学との違いです。
入校前の面接について
ここまで色んなことをお伺いし、きっとこのインタビューを通して、スマキャリを受講したい!と思われた方も多いと思います。ですが入校前に必ずあるのが、書類選考と面接です。特に面接は、どんな面接であれ、誰しもとても緊張してしまうと思うのですが、具体的にはどのような面接になるのでしょうか?
面接時間はどれぐらいでしょうか?また、何か事前に準備することや、面接対策があれば教えてください。
面接対策は強いて言うなら、しっかりと履歴書(エントリーシート)を書いてみることでしょうか。
履歴書を書くと、自然と今までを振り返ることができます。自分は今までこういうことをしてきた、そしてこれからはどのような未来にしたいのか、何で学びたいと思ったのか。このようなことが分かるはずです。
自分のこれまでの経験や、スマキャリで何を学びたいか、スマキャリでの学びをどのように活かしていきたいか、など自分の意思や意欲を説明できる準備をしておけば、いいのですね。
これまでの変化や、現在課題だと感じること
2015年からスマキャリを開講されて、今年(2018年現在)で4年目です。この間に何か変化はありましたか?
自分自身にも、周りの人にもコミットして来る、という傾向に変化を感じますね。
政府も積極的に「人生100年時代構想」や「社会人の学び直し」を伝えています。そのような背景からも、最近徐々にニュースなどでも「学び直し」というワードが出てきました。そのようなことも、スマキャリに大きく影響しているのかもしれませんね。
受講生の中には、通うまで3年ぐらいかかりました、という方もいました。世の中の風潮が背中を押してくれたという方もいるのではないかと感じます。
他に、何か変化を感じられたことはありますか?
現在スマキャリを運営されていて、課題だと感じることはありますか?
学び直した後、今後どのように進んでいくかとなったときに、再就職や転職をしたいというパターンも出てきます。他の大学もそうですが、インターンシップ先の開拓をもっとしていきたいのですが、なかなかうまくいかない。興味はあるのだけれど…で終わってしまったり、中小企業だと受け入れたいけど、そもそも新しい人の面倒を見る余裕がないということで断られたり。
企業の人事担当者や、学び直しを履修した受講生本人、大学の担当者と、一つ一つ見ていくと、それぞれ想いや、やる気、うまく企業と受講生が結びつくといいね!という気持ちは持っています。ただ、なかなかうまくそこが噛み合わない。それが課題ですね。
企業と大学、両者間でもっと連携・協力しあえる関係性になっていく必要がありますね。
今後のスマキャリの展望と検討されている方へのメッセージ
今後のスマキャリの展望を教えてください。
ちなみにですが、スマキャリの2回目以降の受講はありなのでしょうか?
今後スマキャリが長く開講され続ければ、スマキャリ2回目です、3回目です、という人が出てきたり、以前は昼コースでしたが、今は仕事復帰されて夜コースで通っています、という人など出てきそうですね。
最後に、スマキャリの受講を検討している方々に、メッセージをお願いします。
現役生も修了生も含め、面接の時にはとても自信がなさそうだった方も、最後には明らかに変わって、修了していく姿を見ています。もしかしたら受講生本人たちは気が付いてないかもしれませんが、その変化をいつも近くで見ている私からは、皆さん明らかに成長して修了されていると感じます。
また中には、学び直しをするからには、何か方向を定めないといけないとか、答えを出さないと行けないと思う人もいるかもしれません。でも、今後の人生のビジョンだったり、次のアクションプランがすぐに出てくる人ばかりではありません。一歩一歩、今日できることを着実にやり、ステップを重ねて行けばそれで良いと思います。大きな夢を持ってこなくても、等身大のままでいいと思います。
受講生の多くの方々からは、「楽しい」「来て良かった」という感想を多くいただいています。皆さん本当に和気あいあいと学校生活を送られていて、修了が近づくと「スマキャリロス」という想いを持って下さる人も多いです。また、修了時にアンケートを取るのですが、大変満足と満足と回答して下さっている方を合計すると約9割の大多数の方が満足頂いているという結果も出ています。
スマキャリに興味を持たれている方は、ぜひ一度、入校・キャリア相談会にお越しください!
担当の高橋さんは、とにかく受講生のことをとても親身に思い、スマキャリ運営に熱い思いで携わられていると感じました。
何か困ったことや不安なことがある場合は、いつでも気軽に相談に乗っていただけるとのことです。
学び直しをする上で、このような学校側のサポート体制は、とても安心できるものだと実感しました。
高橋さん、インタビューへのご協力、誠にありがとうございました!
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インタビュアー Kanako 大手企業からベンチャー企業まで3社を経験。退職を機に明治大学のスマートキャリアプログラムを受講し、学び直しの重要性を体感。その後、当サイトの企画・運営に携わる。 |