【日本女子大学 リカレント教育課程】授業の特徴や再就職支援・面接・入試について担当者にインタビュー

日本女子大学では「リカレント教育課程」という、大学卒業後に就職し、育児や進路変更などで離職した女性に1年間のキャリア教育を通して、高い技術、知能と働く自信、責任感を養い、再就職を支援するプログラムを開講しています。
当プログラムは、文部科学省の「職業実践力育成プログラム(BP)」に認定されており、さらに受講料の最大70%がハローワークより支給される厚生労働省の「専門実践教育訓練給付金制度」にも指定されており、首都圏だけでなく、遠方からも上京して入学する方がいるほど注目を集めるプログラムです。

今回は、受講を検討されている方々に向け、日本女子大学「リカレント教育課程」のプログラム内容につきまして、日本女子大学生涯学習センター所長の坂本清恵教授と、リカレント教育課程担当課長(大学職員)の茂木知子さんに伺いました。

後半の本記事では、主に受講生に関する詳細や、再就職支援など、受講を検討されている方が知りたい内容を中心に、学校担当者の茂木さんにお話をいただいた内容を掲載いたします。(取材日:2019年6月13日)

natsuko

Natsuko
本日はお時間をいただきましてありがとうございます。本日は受講を検討されている方が知りたいと思うような内容や、受講前に不安に思うような疑問点を中心に、色々とお話をお伺いできればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします!

プログラムや受講生について

まずプログラムについてお伺いします。プログラムの特色や内容について教えて下さい。

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
プログラムの特色は①日本の大学で初めてのリカレント教育であること、②再就職と学び直しの二本立ての構成だということ、③女性をターゲットとし、受講者の平均年齢が40代というということが大きく挙げられます。
開講から今年で12年目になり、日本女子大学の建学の理念である「信念徹底」「自発創生」「共同奉仕」という、創立者の成瀬仁蔵の想いを繋いできたプログラムでもあります。

今、このプログラムが女性に広がりつつあるというのは、本学としては「ようやくここまで来たか」という思いです。ここまで広がった理由の一つには、働き方改革や人生100年時代構想といった、政府の後押しの影響もありました。また、人手不足などの社会変化も大きいです。

受講をされている方は、実際にはどのような方が多いのでしょうか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
受講生の年齢は、20代後半から50代前半までの方がいます。過去には60代の方もいました。今年は50代後半の方もいます。ブランク期間のある主婦の方はもちろん、保育士、販売員、秘書、CAなど、多様な職歴をご経験された方が受講をされています。
坂本清恵教授

坂本教授
中には、公務員を退職し受講された方もいましたし、看護師の方で夜勤明けに通って来る方もいました。

受講生は、都内に住んでいる方の受講が多いのでしょうか?また、どれくらいの時間をかけて通学されている方が多いのでしょうか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
電車で片道3時間かけて通われる方もいますし、歩いてすぐのご近所から通学される方もいます。また最寄りの路線が副都心線ということもあり、横浜方面から来られる受講生は毎回いますね。皆さんよく頑張って通学しています。時間をかけてでも通学される方というのは、とても熱心な方が多いという印象です。
坂本清恵教授

坂本教授
関東圏の方だけでなく、過去には、金沢、仙台、鳥取、高知などから転居を伴って受講された方もいます。今年は海外に在住されていた方も受講をされていますね。

授業風景(ITリテラシー)

授業について(授業レベル、雰囲気、評価、欠席時の対応)

受講を検討されている方の中には、授業についていけるのか、色んな人がいる中でどのように授業が進められるのか、漠然と不安を感じる人も多いと思います。実際の授業のレベル感や、どのように授業が進行していくのか、お伺いできますか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
授業は初学者の方もついていけるように構成されています。経験がないと分からないという授業は、ほとんどありません。
ただし、英語とIT関係の授業はレベル分けをしています。これらの授業は過去の実績により、受講生のレベルによってクラス分けをしないと成果が上がらないからです。
資格取得につながる授業では履歴書にも記載できることから、皆さん頑張って資格を取得しています。1年間のプログラムなので後期にはレベルアップしますし、担当の先生も資格取得できるように指導しています。また、生涯学習センター内に資格取得の講座もありますので、このような講座も活用し、資格取得を目指される方もいます。

※現在目指せるスキル(資格)一覧(学校HPより抜粋)

  • TOEIC610~900点以上
  • Microsoft Office Specialist Excel,Word
  • Access
  • 消費生活アドバイザー
  • 日商簿記3級以上
  • 貿易実務、記録情報管理士 など。

授業風景(時事英語1)

受講生の方はどのように授業を受けられていますか?授業の進め方や雰囲気などを教えて下さい。

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
敢えて先生方にお願いしているのですが、どの授業もグループワークが多いです。座学だけの授業は少なく、必ずグループで討論したり発表したりするか、毎回それらを組み合わせるなど、必ず双方向の授業となるように構成されています。
また、プレゼンをする授業も多いです。このため修了する直前には、人前で話すのが苦手という受講生はほとんどいなくなります。

予習復習が必要な授業はありますか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
予習復習が必要だと決まっている科目はありませんが、例えば英語については必要だと思います。英語は授業中に小テストがあって、再試験まであります。しかし、英語力を身に付けたいと思って入学する受講生が多いので、むしろ皆さん積極的に勉強しています。

成績の評価があるそうですが、どのように受講生の評価をされているのでしょうか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
評価方法は、小テスト、期末テスト、レポートなどで行い、A+からCまでの成績が付きます。また3分の2以上の出席がないと試験が受けられません。
成績評価で一番大切なのは、受講生が自分自身を客観視できるということです。社会人が自分自身を客観視するための物差しとして、評価はすごく分かりやすいものだと思います。今まで自信を持てないでいた人が良い成績が取れ、どんどん自信を持つようになる姿を何人も見てきました。
坂本清恵教授

坂本教授
成績評価はきっちりと出ますので、シビアではあります。評価されることで自分に何が必要だったのか、気が付くことが出来ますし、実績が付いてくると、自分が見えてくるのではないでしょうか。
試験前などは、学内のフリースペースや図書館などで、皆さんよく勉強をされている姿を見かけます。

遅刻や欠席をする場合、どのような対応になりますか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
欠席時について連絡は必要ありませんが、3分の2以上の出席がないと試験が受けられないため、各科目の担当講師が管理します。また教育訓練支援給付金を受給する方もいますので、ご自身で管理と事務室でも確認しています。授業についても1コマ3分の2以上の時間は受講が必要なため、3分の1以上の時間を超えて遅刻されると欠席扱いになります。
出欠の基準は学部生と同じです。交通機関の遅延の場合は、企業の勤怠管理と同じようにしていまして、遅延証明を持ってくれば対応しています。また、教育訓練給付金や失業保険に関する手続きのためにハローワークに行く場合も、対応しています。忌引き制度もあり、申告して欠席届を出していただきます。ただ、出席率はとても高いです。

受講生の学校生活について

受講生の普段の学校生活についてお伺いします。受講生の皆さんは受講期間中、どのように過ごされているのでしょうか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
本プログラムは、朝9時から開始する1限目からしっかり授業を置いています。このため、ほとんどの受講生は朝9時の1限目から授業を受けられています。就職に向けて満員電車の通勤ラッシュに慣れておく意味も込めて、敢えてこのようにしていますが、5月頃には慣れてくるようです。あとは、受講生によって履修される選択科目などが異なるため、それぞれのスケジュールで授業を受けられていますが、お子さんが小さく、あまり遅くまで残れない人も多いので、1日平均3コマ程の授業を受けられる方が多い印象ですね。

選択授業は受講生によって履修される科目数が異なるかと思いますが、参考までに、週何回程度通学されている方が多いのか、どのぐらいの単位数を受講されるケースが多いのか、お伺いできますか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
一番多いのは、週4日の通学者が多いですね。中にはお仕事をされながら受講されている方、たくさん科目を履修される方などもいますので、通学頻度については、週3日~週6日まで幅は広いです。また履修単位数は、前期だけで平均18単位取得される方が多いです。

授業以外では、受講生の方はどのように学校生活を送られていますか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
授業以外ですと学内にフリースペースがあるので、そこで歓談したり、勉強したりしています。コンピューター演習室で自習している方もいますね。
また、学食でグループで食事をしたり、大学生協でお買い物をされたりなど、楽しそうに過ごされている姿をよく見かけます。あとは、大学は講演会が多いので、イベントやセミナーに参加されたりもしています。

キャリア支援(再就職支援)について

続きまして、キャリア支援(再就職支援)についてお伺いいたします。日本女子大学「リカレント教育課程」において、受講期間中に受けられるキャリア支援(再就職支援)の内容を教えて下さい。

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
再就職支援の内容は、主に下記となります。

  • 大学内での合同企業説明会
  • 就職に役立つイベントとネットワーキング
  • 独自の求人WEBサイト
  • 日常的なキャリアカウンセリングの支援

まず合同企業説明会は、日本女子大学のオリジナルでの開催が2回、東京商工会議所と東京労働局との連携のものを合わせると合計で年に4回開催しています。
また就職関連のイベントにつきましては、前期の後半からガイダンスのイベントが始まります。夏にはインターンシップがあり、年によって日数は変わりますが、4日~5日間の職場体験を行うプログラムが特に多いです。
後期は、再就職に向けるワークショップや、修了生と受講生が交流するイベント、生涯学習講座とリカレント講座の連携、自治体との連携などもあって、授業以外のイベントは週1回ペースくらいの頻度で開催しています。
また、近年はキャリアカウンセラーの方が常駐し、受講生の対応をしていただいています。

かなり手厚い再就職支援をされているのですね。また近年ではキャリアカウンセリングもスタートされたということですが、どのように行われているのでしょうか?詳細を教えて下さい。

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
今年は週4日間キャリアカウンセラーが常駐します。カウンセリングは予約制で、3月の受講期間修了まで好きなだけカウンセリングが受けられるようにしており、毎日予約で一杯になります。
またそれとは別に、受講期間中に必ず1回は、教職員が受講生全員と面談を実施しています。困っていることや悩んでいることを改めて聞く機会を設けることで、初めて相談する人がいますので、そこは丁寧にしています。

今の悩みや今後の進路などを相談出来る機会がこれほどあるというのは、受講生にとってとても心強いですね。
また、学校に来る求人数というのは、どれぐらいの件数なのでしょうか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
学校にくる求人数は、当プログラムの募集定員の約5倍ほどの数ですね。割と求人数は多いと思います。

当プログラムを修了された方の、実際の就職率や就業状況についてお伺いできますか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
就職を希望する人については、ほぼ100%就職しています。希望者の半数くらいが正社員、3割くらいがフルタイムの非正規、2割くらいが20時間以上勤務の方(時短・パートタイム)、5~6%が扶養の範囲内で働く方です。
ほどんどの方がフルタイム勤務か週に4日以上勤務して、被社会保険者となっています。非正規の方も正社員になれないのではなく、お子さんが小さくて残業ができないなどの事情から、敢えてフルタイムの非正規から始められるケースが多いです。
あとはジョブチェンジで未経験分野への就職を目指される場合は、最初から正社員が難しい場合もありますので、まずはフルタイムの非正規で働いて職歴をつくる場合もあります。

受講生の方は再就職に向け、具体的にどのようなスケジュールで就職活動をされるのでしょうか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
大学側では受講生の就職活動に向けて、キャリアマネジメントの授業で、自己分析からメンタルヘルスマネジメントまで準備します。また、11月くらいから再就職に向けたガイダンスなどを始め、受講生の再就職に向けて意識を高めていきます。
実際に就職活動をスタートされるのは、12月~1月ぐらいからの方が多いでしょうか。仕事が決まり次第、授業が終わった2月からすぐ働き出すケースもあります。また授業と就職活動の両立が難しいという方は、授業が終わった2月頃から就職活動を始めて、3月~4月から働き始めることが多いです。多くの受講生はこのどちらかで就職活動をされています。

再就職以外のキャリア形成をされている修了生はいますか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
もっと学びたくなって、大学院に進学する方もいます。博士課程まで進学して、本学の助教になった方もいますし、心理学で本学の修士・博士課程に進学し、臨床心理士になった方もいます。また、起業する方もいますね。消費生活アドバイザーや社会保険労務士になった方や、日本語教員になり、海外に渡った方もいます。

合同企業説明会の様子

他大学との違いについて

社会人女性向けの学び直しプログラム(リカレント教育)は、明治大学や京都女子大学等、他大学でも実施されていますが、日本女子大学のリカレント教育課程は、他大学と何が違うのでしょうか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
一番大きな違いは、当課程をスタートしてからの約12年間継続してきた支援スキルがあること、受講生を確実に社会に戻すという本学の建学の理念と重なるプログラムであること、この点が特徴的であると思っています。リーマンショックや東日本大震災等の社会情勢的に女性の再就職支援が難しい期間も、根気よく確実に再就職支援を構築してきたという点だと思います。
外部の方からは「再就職の支援がきちんとタイアップしている」「出口支援がしっかりしている」と言っていただけています。

入学前の入試・面接について

日本女子大学リカレント教育課程では、入学前に入試と面接を行っています。他大学では入試を行わず面接のみとしている学校が多いですが、なぜ当プログラムでは入試を行うようになったのでしょうか?

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
入学試験を行う理由は落とすためではなく、当課程の授業についていけるかどうかを確認するためです。企業が求めるスキルは年々高くなっていますが、1年間で学べることには限界があります。企業のニーズに合わせるためには、事前に準備して受講していただく必要がありますが、そうでない場合、入学後も授業についていくことができずに、リカレント教育課程での生活を楽しむことも出来なくなります。
坂本清恵教授

坂本教授
入学までに準備ができていないと、1年で就職までは行けません。また準備ができていなくて授業についていけない場合、他のパソコンスクールに通うなど、ダブルスクールをしないといけなくなりますが、それは本校としては避けたいと思っています。
入学試験ではお互いに「Win-Win」になるよう、そこを見させていただいています。残念ながら基準に到達しなかった方が、1年間自分で勉強して、また翌年の試験に合格するというケースもあります。
日本女子大学 茂木知子

茂木さん
当プログラムは、出願前に「入学・キャリア相談会」を実施しており、当該年度の相談会への参加が出願条件になっております。入学前の試験や面接については、この相談会で詳しく説明しております。「入学・キャリア相談会」は毎回定員数がすぐに一杯になってしまう状況です。入学を検討されている方は、是非ご参加をいただきたいです。

授業風景(プレゼンテーション)

受講を検討されている方へのメッセージ

最後になりますが、今後の展望と、受講を検討されている読者の方へ、メッセージをお願い致します。

日本女子大学 茂木知子

茂木さん
当プログラムのことについて、ご自身で検索されてたどり着いた方は、熱心な方だと思います。
あまり難しく考えないで、一歩踏み出して欲しいです。大変そうだと思われるかもしれませんが、通学課程ということで受講生同士が助け合いますので何とかなりますし、自分自身もきっと変われます。
考えすぎて悩んでいる方に沢山お会いしますが、始めてみると何とかなったという方が多いので、是非勇気を持って欲しいと思います。
素敵な友人もできますので、これからの人生が輝くような貴重な経験が出来ることでしょう。

また現在、働きながら学びたいという声も多数いただいていますので、多様な女性に対応できるプログラムを検討しています。今後とも日本女子大学リカレント教育課程を益々ブラッシュアップさせて行きたいと思っています。

インタビューを終えて

今回は日本女子大学で開講されている「リカレント教育課程」について、坂本清恵教授と、学校職員の茂木知子さんにインタビューのご協力をいただきました。

女性のリカレン教育のパイオニアである日本女子大学では、大学卒業後に就職し、育児や進路変更などで離職した女性の再就職を支援するために、ビジネスに特化した1年間のプログラムが開講されています。

もう一度社会に出て働きたい主婦の方から、さらにスキルアップしたい方まで、多様な女性に支持されている「リカレント教育課程」で、あなたも学び直しに挑戦してみましょう!

坂本先生、茂木さん、インタビューへのご協力、誠にありがとうございました!

プログラム詳細はこちら

記事前半:「プログラム立上げの想い」坂本清恵教授のインタビューはこちら

インタビュアー

Natsuko

夫の転勤をきっかけに仕事を退職し、専業主婦に。その後、明治大学のスマートキャリアプログラムを受講。現在は経済的自立を目指して活動中。

※授業風景や受講生の写真は学校よりご提供いただきました。

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